Webマーケティングの仕事とは? 最新のSEOと業務の流れを紹介
こんにちは、Webマーケターのさっちゃんです。
リスペクトでは主にSEOを中心に、Webサイトを成長させるための仕事全般に携わっています。今回は、Webマーケターの仕事についてご紹介していきます。
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SEOとは、「良いコンテンツ」を作り、届けること
SEOとは、Search Engine Optimization、日本語で言うと「検索エンジン最適化」となり、サイトの構造やコンテンツを改善することによって、検索結果のより上位に表示させるための手法、またはその一連の取り組みのことを指します。
SEOを行うための具体的な技術は、検索エンジンの進歩や世の中の流行・移り変わり(例えば、ガラケーからスマートフォンへの変化など)に合わせて、常に変わり続けています。
頻繁にアップデートが行われ、激しい変化が続いている業界に見えますが、その本質は昔から一貫しています。情報を探している人の目的を達成できるコンテンツを用意することと、そのコンテンツが届きやすく、使いやすいように配慮すること。
そのためSEOには、良いコンテンツを作るためのマーケティングの知識と、コンテンツを届けるためのWebサイト制作の知識との両方を、バランスよく活用していくことが求められます。
検索エンジンをだますテクニックは、もう時代遅れ
SEOについてご存知の方は、「コンテンツの良し悪しを問わず、検索エンジンをだまして、ズルをして順位を押し上げる裏技」なのでは…とネガティブなイメージを持っている方も、もしかしたらいるかもしれません。
過去には検索エンジンの仕組みを逆手に取って、無理やり検索順位を操作するようなテクニックもありましたが、そのようなユーザ(サイトの利用者)のニーズを無視した手法は、すべて対策されてきました。文字数を増やす、キーワードをたくさん入れる…といった小手先のだましテクニックはもうSEOとは呼ばれておらず、これから作っていくサイトには、そのようなテクニックは通用しません。
検索エンジンのアップデート一つで、最適なテクニックがコロコロ変わることを面倒だと感じるでしょうか? 今行っている施策も今後どうなるか分からないから、無駄な作業? いいえ、そんなことはありません。施策を実施しようとするとき、「これはユーザにとって本当に嬉しいものだろうか?」と考えれば、その必要性がおのずと理解できるはずです。
ユーザに良いコンテンツを届けようとする検索エンジンの精度は、これからもさらに高まっていくでしょう。Webでコンテンツを発信する際は、情報発信者としての責任を持ち、一つ一つ丁寧に、そのサイトだから提供できる、有益な情報を作り続けることが大切です。
「良いコンテンツ」って要するに何?
良いコンテンツ…と一口に言っても、まだ少々あいまいですね。
例えば「カレー」というキーワード一つ取っても、外食でカレーが食べたいから近所にどんな店があるのか知りたい人、自分でカレーを作るときのレシピが知りたい人、世界にはどんなカレーの種類があるのかを知りたい人…など様々なユーザがいるはずです。
すべての人にとって良いコンテンツというのは存在しません。そこで「誰かにとって良いコンテンツ」を一つ一つ作り続けていくことになります。
一人一人の疑問、悩みに丁寧に答え続けること、そしてその中で、サイトがユーザにしてあげられることを探し、ユーザとサイトの目的をマッチングさせることがWebマーケターの仕事となります。
業界のトレンド、そこにいる人々、Webとの関わり方、必要とされるシーン、タイミング…
そしてサイト側がしたいこと、できること、すべきこと…これらを調査して組み合わせ、答えを見つけ出していきます。
Webマーケターの仕事|コンテンツ企画編
それでは、実際にWebマーケターとして携わっている仕事について、順を追って紹介していきます。
市場調査(競合、ニーズ)
良いコンテンツ作りは、徹底したニーズの調査から始まります。
マーケティングにおける市場調査というと、同じ商品やサービス、その価格、それを扱う企業の規模、広告手法、販売形態、強みや弱み…と非常に幅広い情報が対象となります。
SEOおよびコンテンツマーケティングにおいても上記の内容は重要ですが、同じテーマの情報を発信しているサイト、つまり同じキーワードの検索結果画面で表示されるサイトがすべて競合になる点が大きく異なります。より良いコンテンツを作り、届けるために、現在は誰がどんな情報を発信しているのか、それを受け取るのはどんなユーザで、どんな情報が求められているのか…といった要素を掘り下げながら調査していきます。
今はあらゆる人がWebで情報発信をする時代です。Webの仕事をしていると、時にはまったく知らない業界からの制作依頼も届きます。生半可な調査では、コンテンツ発信の仕事は務まりません。素人が聞きかじっただけのコンテンツは、本当にそれが好きな人に届くはずがないのです。コンテンツを読む相手をがっかりさせないよう、間違った情報を届けてしまわないよう、敬意を持って慎重に調査を重ね、時にはその業界についてじっくり勉強してからコンテンツ制作に取り組みます。
ここがWebの仕事の大変なところであり、面白いところでもあります。
検索キーワード洗い出し
Webを利用する人のニーズが最も表れやすい場所の一つが検索キーワード(検索クエリ)。ここをいかに掴むかがSEOのキモです。ユーザが困ったとき、何かを知りたいときに使いそうな言葉を意識して、キーワードを選んでいきます。
(C) Google
例えば「カレー」と検索してみると、関連する検索キーワードが色々出てくるでしょう。他のユーザが多く検索している言葉が、ここに表示されます。
「カレー 仙台」なら、近所のおいしいお店を探している人が多いんだろう、
(検索エンジンが、検索者の今いる場所に合わせた地名を自動で選んでくれます)
「カレー 余り」なら、2日目のカレーのアレンジレシピが知りたいのかな、
「おしゃれ カレー」なら、盛り付け方のヒントが知りたいのかも…
ユーザのニーズはこんなところから見つかります。無数のニーズの中から、サイトで載せるべき情報を見極めて、サイト内のメニューや記事コンテンツのイメージを膨らませていきます。
サイトマップ作り・コンテンツ設計
載せたいメニュー・コンテンツや必要な情報を整理、取捨選択していきます。
このサイトにはどんな人が来るのか、その人にどんなコンテンツをいつ、どの順番で届けるか、その人にとって必要な情報、今必要ではない情報とは何か…などの要素を整理して、意図した通りに情報を届けられるよう、サイトの構造や情報の流れを整備していきます。情報を階層構造状(ツリー構造)にまとめていくと、ユーザと検索エンジン、両方にとって分かりやすいサイトになります。
SEOを進めるうえでは、サイト本来の目的から大きくズレたコンテンツは排除し、何を扱っているサイトなのかをはっきりさせ、サイトの「専門性」を高めていくことも重要になってきます。
記事作り
どんなコンテンツを打ち出していくかが具体的に決まったら、洗い出したキーワードをヒントに、記事づくりを進めていきます。
何について書かれた記事なのかをはっきりさせるため、記事の中にキーワードを含めるように意識することで、狙ったキーワードでの検索順位が上がる可能性が高まります。
ただし、こうした検索エンジン対策に振り回されてはいけません。キーワード戦略を極めれば、どんなサイトやコンテンツでも検索で1位になれるという魔法ではないのです。
例えば「日本一のカレー」でうちの店の検索順位を1位にしたい! と思ってサイト中に「日本一」と書き連ねたとしても、本当においしいカレーを作れる実力が伴わなければ、ユーザはそのサイトを見ても喜びはしないでしょう。
最初から背伸びをするよりも、カレー作りの腕を磨きつつ、その修行の過程をブログで公開するなど、その店だからこそできるコンテンツを地道に公開していくことが望ましいです。日々試行錯誤する様子は、カレーをおいしく作りたい…と思っているユーザにとっては充分うれしい情報、「良いコンテンツ」になりえます。
次第に「ああ、あの日本一を目指してるカレー屋さんのブログね」といったうわさが立ち、「日本一のカレー」と検索する人が出てきて、その人たちのニーズに合うコンテンツが用意できていれば、検索エンジンもその期待に応えてくれるようになります。「日本一のカレー」検索1位も夢ではなくなっているかもしれません。
ユーザの目的とビジネスとのマッチング(導線設計)
ここまで「ユーザが満足してくれるコンテンツ」について追求してきましたが、そもそも何のためにサイトを開設するのでしょうか。もちろんサイトの運営を通じて、ビジネスを成功させるためです。
ですが、「ユーザが検索・情報収集することで達成したい目的」と「サイト運営者がビジネスで達成したい目的」が、最初から一致しているケースは多くはないでしょう。せっかくサイトに来てくれた人に、誰彼かまわず、同じセールストークで売り込みを行うのはあまり良い手ではありません。
サイトに訪れるために使われた検索キーワード(検索クエリ)の数だけ、ユーザの悩みがあります。このページを見に来たユーザは、本当は何に困っているのか、何を解決したいのか、そしてそれは、このサイトが提供するサービス・商品であれば解決してあげられることなのか。
もしそうでないなら、潔く、そのページでは売り込みをしないという選択をします。
もしくは、このサービスによって目的を解決できることにユーザがまだ気づいていないだけなら、サービスを使うと何が変わるのか、どう良くなるのかを丁寧に伝えましょう。
キーワードを一つ一つ深読みし、サービスを本当に必要としている人のためのゴールとして、サービス利用という選択肢を提示してあげることが成功の近道です。
キーワード選び・コンテンツ作りのときにイメージできるゴールもありますし、サイトの運用を開始してからはさらに、実際に検索に使われた単語や、より多くの人がクリックした記事などから、そのヒントが見つかりやすくなります。多くのニーズを満たし、多くのキーワードでの表示機会を獲得して、多くの人がサイトを訪れてくれるようになればなるほど、そのきっかけを見つけやすくなるでしょう。根気強い調査・検証が必要な作業です。
サイトの満足度を高めることは大切ですが、ユーザが満足しただけではサイトが成功したとは言えません。ビジネスの成功へと結びつけることができてようやく、Webマーケターとしての役割を果たすことができます。
コンテンツを届けるための工夫(広告、SNS)
見る人の都合を考えない、広告の一方的な押し付けはイライラしますよね。広告の対極に位置するのがSEOです。検索はユーザが自分の意思で使うものであり、見たくなったときに見ることができるので、情報の押し付けにはなりません。
とはいえ、その情報のことをまったく知らない人はそもそも検索してくれないので、知るためのきっかけが必要です。広告はそういったユーザに向けて情報を届けるのに役立ちます。情報を詰め込みすぎず、短くて印象に残るもの、見ていて面白いもの、時間を無駄にしたと感じさせないものが広告としては理想です。
SNSを活用することも重要です。SNSは皆がコミュニケーション目的で使っているもの。広告を行うにしても、一方的なセールストークや無機質な自動投稿ではなく、コミュニケーションのきっかけになるような内容が理想です。
広告とSEO、両方をバランスよく活用し、相手に合わせて的確に届けていくことが情報発信のポイントです。
ログ解析、サイト・コンテンツ改善
Webマーケターの仕事の中で、もっとも大きなウェイトを占めるのがこの作業です。
コンテンツを公開した結果、ユーザが満足してくれたかどうかを検証し、うまくいった/いかなかった理由を仮説立てて、仮説に基づきサイトを改善し、再び検証を行っていきます。
ログ解析時、主に利用するツールは下記です。
Google Analytics
Googleが提供するアクセス解析ツールです。サイトへのアクセス数をはじめ、アクセスに利用した機種、訪れたルート、時間帯や曜日ごとの比較など、非常に幅広いデータを確認することができます。ユーザからの支持を得られているページや、うまく成長できているページとそうでないページなどを洗い出し、次の作戦作りに役立てます。
Search Consoleと合わせてWebマーケターの必須ツールです。
Search Console
同じくGoogleが提供するツールですが、こちらはサイトがGoogleに正しく認識(インデックス)されているか、そして検索結果画面(SERPs)での表示状態がどのようになっているかをチェックするためのものです。どんなキーワードで何回表示されたか、そのうち何回アクセスにつながったか、今の表示順位などの情報や、このサイトへリンクを貼っているサイトの一覧、サイト内で発生しているエラーの状態などが確認できます。
中でも、どんな検索キーワードが使われているかのチェックが特に重要。ユーザが何を探しているのか、どんな答えを求めているのかをキーワードから推測し、その期待に応えられるように、キーワードと記事タイトル・本文のギャップを埋めたり、キーワードに対する回答となる段落を追加したりして、コンテンツを改善していきます。
GRC
検索順位チェックツールです。キーワードを登録しておくと、毎日決まった時間に検索順位を計測してくれるので、その推移を確認することができるようになります。
公開したコンテンツが狙ったキーワードでどう推移しているかこまめにチェックを行い、さらなる改善が必要かどうかの検討材料に使用します。
UserHeat
ユーザがページを見たときにどこをクリックしたのか、どこをよく読んだのかが視覚化されたグラフ「ヒートマップ」を確認できるツールです。サイト内に作った導線がきちんと活用されているかどうかのチェックに使用します。
MozPro
リンク数の確認に特化したSEOツールです。サイトやページの専門性・信頼度の高さがスコア化されているので、運営しているサイトと競合サイトの実力の差が、どれくらいあるかの確認に役立ちます。
他にも調べたいことに合わせて様々なツールを併用し、検証のサイクルを繰り返します。
Webマーケターの仕事|サイト構築技術編
どんなテクニックがいいのかを追求することは、SEOの本質ではない…とお話しましたが、とはいえWebサイトは好き勝手に作って良いものでもありません。
せっかく良質なコンテンツを作っても、表示が遅い、文字が小さすぎるなど、利用しにくいとユーザには喜んでもらえませんし、検索エンジンに正しく届かなければ、そもそも検索結果にも表示してもらえない可能性が高まります。
ユーザが使いやすいサイト構築
「コンテンツ企画編」でもサイトの情報設計について触れましたが、そのほかにも、サイト作りにおいて重要なポイントはたくさんあります。
ページの読み込み速度が早いこと、ユーザが使っているデバイス(PC、スマートフォン、タブレットなど)に最適化されておりストレスなく利用できること。もっとも重要なのはこの二つで、これらの評価はGoogleの検索順位を決定するための指標としても使われています(2018年現在)。
自分が今サイト内のどの辺りにいて、どのような状態なのかを把握しやすくすることや、フォームをストレスなく入力できるようにすること、ボタンを押したかどうかが分かるように反応をきちんと返してあげることなども改善できるポイントです。
サイトを使う側からすれば、どれもこれも当たり前にできていて欲しいことですが、いざサイトを作ろうとすると必要な作業が多く、このような細部への配慮は抜けてしまいがちです。不便な点やストレスを感じる要素が残っていないか、改善した結果ユーザの反応はどう変わったか…テストを繰り返して地道な改善を続けます。
検索エンジンが理解しやすいサイト整備
ユーザにとって分かりやすいことと同じくらい、検索エンジンにとっても分かりやすい構造を維持することも大切です。
検索エンジンの仕組みに優遇されやすいサイト設計…ではなく、あくまで「良いコンテンツを届けるための最適な土台」を作る、という考え方です。
まずはマークアップのルールをしっかり守ること。見出しやページタイトル、ページの概要などの要素がどこなのかを正しく伝えられないと、検索順位が向上しなかったり、意図しないテキストがタイトルとして表示されてしまったりする恐れがあるので充分に注意します。
そして情報をできる限り「構造化」していくこと。
検索エンジンは日々賢くなっているので、例えば「Apple」というキーワードが出てきたときに、企業のことを言っているのか、果物のことなのかは文脈から判断して、ユーザの望む結果を返してくれます。
ですが検索エンジンに対して、サイト側から能動的に正確な情報を伝える手段も存在します。その一つが構造化マークアップです。
構造化マークアップを行うことによって、検索エンジン側もその情報を積極的に活用できるようになります。一例としては、検索結果に表示される情報を、より詳細で分かりやすい「リッチスニペット」で表示してもらえます。ロゴ画像、所在地や営業時間などの企業情報や、商品の情報、値段、レビュー評価など、多くのデータが対象となっています。
(C) Google
検索結果は文字だけでなく、地図や画像など、様々なバリエーションで表示されることもあります。サイトがこれらの検索対象となる情報を載せているなら、要素に合わせた構造化を行うことも有効です。
(C) Google
検索順位と同様、どのサイトの情報を優先表示するのかは検索エンジン次第ではあるものの、正しく構造化を行っていれば、表示される可能性は高まります。
検索エンジンの動向を追いかける
検索エンジンはユーザにより良いコンテンツを届けようと、日々改善が行われています。構造化マークアップの活用もその一つで、新たな構造化データが検索の対象となるなど、定期的にアップデートが行われています。検索エンジンの動向を追い、次に改善しようとしていることを理解し、新たなルールに従ってサイトを更新し続けていきます。
世の中のWebとの関わり方について常にアンテナを張り、検索エンジンが次にやろうとしていることをいち早くキャッチし、「良いコンテンツをユーザに届けよう」という理念の一致のもと、ともに前に進んでいけることが理想です。
とはいえ、数年前まで当たり前だった施策が、今となってスパムとして見直されることもあります。Webマーケターの仕事としては、長く運営していて検索エンジンからペナルティを受けそうな、あるいは受けてしまったサイトを挽回させる作業も多いです。実情としてはそういった理由からも、検索エンジンの動向を観察していく必要があります。
Webに関わるあらゆるものに、親切にする仕事
以上がSEOを中心とした、Webマーケティングの仕事の流れとなります。
毎日Webと向き合う仕事ではありますが、そのWebを通して、常に人の気持ちを追いかけています。ユーザと検索エンジン、その両方に情報を分かりやすく届け、親切にすることでコンテンツに関わるすべての人をハッピーにしたい。そんな思いで仕事に取り組んでいます。
Webマーケターの仕事に少しでも魅力を感じていただけたら幸いです。