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【検証】笹かまぼこをほぼ全種類食べ比べて提案書を作ってみた

内定者

こんにちは! 19卒内定者のHです。内定者企画第4弾ですね!

突然ですが、学生のみなさん、マーケティングって何か知ってますか!?

webでマーケティングの定義を調べてみると…

(例1)日本マーケティング協会の定義

マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。

1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。

(例2)フィリップ・コトラーの定義

マーケティングとは、充足されていないニーズや欲求を突きとめ、その重要性と潜在的な収益性を明確化・評価し、組織が最も貢献できる標的市場を選択したうえで、当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し、組織の全成員に顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。

引用元:フィリップ・コトラー「コトラーのマーケティング・コンセプト」(東洋経済新報社/恩藏直人監訳/大川修二訳)

など、複数の解釈が存在しています。

リスペクトにも自社のマーケティングや他社のマーケティングに関わる部署が複数存在しています(例えばこんな仕事をしています)。しかしマーケティングが具体的にどんな仕事なのか、学生にはなかなかイメージしにくいのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「彼女に渡すプレゼントとして、同期に笹かまぼこを提案する」という事例を通して、みなさんと一緒にマーケティングについて勉強してみたいと思います。

 

お題「同期が彼女に渡す笹かまぼこを提案する」

ある日のこと。内定者研修のため東京オフィスに集まると、ごーかくんが朝から何やら複雑な表情を浮かべていました。
※「ごーかくん」…19卒内定者Iのあだ名

話を聞いてみると、彼女へのプレゼントに仙台の笹かまぼこを買いたいけれど、種類が多すぎてどれを買うか迷っているとか。

研修で会うたびにちらちら彼女の話を振ってくるごーかくん。よほど彼女さんのことが好きなんでしょう。きっとプレゼントにかける思いも人一倍大きいはず。

困っている同期のことを助けたい! というわけでブログチームの女子3人で、「ごーかくんの彼女にぴったりな笹かまぼこ」を検証&提案することにしました。

 

いざ、笹かマーケティング!

まずは彼女さんのニーズを洗い出したいと思います。彼女さんに直接聞くとプレゼントの中身がバレバレなので、ごーかくんにヒアリングをすることにしました。

 

(1) ヒアリング

ごーかくんに彼女について質問します。
事前にヒアリングシートを送っておき、後日カフェで面談させてもらいました。

※ヒアリングシート:ヒアリングで聞き取りたい項目を網羅的にメモしたもの。これを事前に送ることでヒアリングの手続きを簡単にしたり、大事な項目の聞き逃しを防いだりすることができる。

ヒアリングの結果、ごーかくんの彼女について以下のことがわかりました。

項目 内容
基本属性 22歳の大学4年生。宮城県の都市部在住。
食べ物の好み 脂っこいもの、味の濃いものが好き。嫌いなものはない。
外食ではから揚げや餃子をよく注文する。
飲酒の程度 毎日。
お酒の好み ビール、日本酒、ワインが好き。ウィスキーと焼酎は飲まない。
食生活 食事量は普通の女性より多い。夜中にステーキを焼き始めたりする。
笹かまぼことの関わり 仙台近郊に住んでいるが、笹かまぼこはほとんど食べたことがない。
食べ物の選択基準 流行には敏感ではない。SNSで流れてきたものでおいしそうだと思ったら買う。
普段の服装 ワンピースなど、楽な服装が多い。

とにかく食生活に関わることを聞きまくりました。ついでに普段の服装も聞いてみました。

ヒアリング結果を参考に、ごーかくんに提案する笹かまぼこの種類を考えます。彼女さんはあまり笹かまぼこに詳しくないとのことだったので、笹かまぼこの世界への入り口として、何も入っていないプレーンタイプをオススメすることにしました。

また、お酒を毎日飲んでいることや、餃子やステーキなどお酒に合いそうな食べ物を好んでいることから、お酒のつまみにできる笹かまぼこを提案することにしました。

さらに普段の服装として楽なワンピースを多く選んでいることから、あまり手間隙をかけて調理することはないだろうと仮定し、袋から出してそのまま食べられる笹かまぼこを選ぶことにしました。

※このように、ヒアリングの結果から消費者像を想定し、サービスの内容を検討することは、実際のマーケティングでも行われます。

 

(2) 下調べ

「お酒に合う笹かまぼこ」という条件が決まったので、今度は次の2点について調べます。

1.お酒のつまみにぴったりな味を探すには、具体的にどんな要素を調べればいいのか?

2.仙台のお土産用笹かまぼこにはどんなものがあるのか?

まず前者について。

お酒のつまみにぴったりな味をwebで調べると、こんなアンケート調査結果を見つけることができました。それによると…

おつまみの好みは「塩・辛い&油っぽい」派と「薄味&低カロリー」派に大きく二極化していることがうかがえます。

日本でおつまみとして好まれる味は、上のどちらかに分かれるとのこと。

ヒアリングで明らかになったごーかくんの彼女さんの食べ物の好み(味の濃いもの・脂っこいものが好き)から考えると、彼女さんは「しょっぱくて脂っぽい」食べ物をお酒のつまみとして好むはずです。

次に後者について。

宮城県内の会社が販売する笹かまぼこをwebで調べて、Excelシートにどんどん記入していきます。調べれば調べるほど出てきてもう大変…
最終的に、宮城県内の会社のお土産用プレーン笹かまぼこを33種類発見しました。

 

(3) 検証――食べ比べ!!

仙台駅周辺で購入可能なものを集めてみると、最終的な検証対象は14社20種類になりました。
※販売店がなくて検証できなかった笹かまぼこもあります。

今回集めた20種類の笹かまぼこは、価格が100円から388円までかなりの幅がありました。そこで200円を基準に低価格帯(14個)と高価格帯(6個)に分け、食べ比べを行うことにしました。

さらに今回の検証にあたって、4種類の検討項目を作りました。

①塩加減…しょっぱい↔薄味
②食感…歯ごたえが強い↔弱い
③香りの強さ…強い↔弱い
④パッケージの見た目…キャッチー↔玄人感がある

これをそれぞれ5段階で評価します。

ひたすら試食(写真は低価格帯)。

なお、食べ比べ後に胃もたれを訴える人が2名ほど現れました。

 

(4) 分析

食べ比べでの採点結果を3人でExcelに入力し、平均点を出していきます。
さらに価格帯ごとに、塩加減×食感、香りの強さ×パッケージのグラフを作りました。

※今回は私たちの主観で採点を行っているため、厳密な「食感」や「塩加減」とは異なる可能性があります。

低価格帯の場合。右上がしょっぱくて歯ごたえの強い笹かまぼこです。

こちらが高価格帯です。

今回はプレーンの笹かまぼこがたくさんあったので、価格を分けて提案することに。
パッケージはキャッチーな方がいいかな? と考えていたのですが、味や食感のほうが重要なので、パッケージはごーかくんに選んでもらうことにしました。

 

(6)提案!

PowerPointで提案書を作成し、ごーかくんに持って行きます。

 

緊張する~。

「彼女さんにぴったりな笹かまぼこ」の定義や、食べ比べの手順を説明したあと、いよいよ提案を行います。

今回の食べ比べの結果、提案した笹かまぼこは以下の5つになりました。

こちらは低価格帯。

こちらは高価格帯。

※このように、サービスや企画を提案するためにスライドを作成し、相手を訪問して説明することは、実際のマーケティングでも行われます。

 

ごーかくんは時折頷きながら静かにプレゼンを聞いていました。

提案が終わったところで、ごーかくんのコメントは…

・5つ提示してもらったけど、この提案を信用してどれかを買ってみるしかないなと思った。

・彼女と一緒にお酒を飲みながら食べられるものを選びたいので、パッケージは正直どうでもいい。

うーん。私たちの期待に反して「よし、これを買おう!」という前向きな気持ちにはなれなかったようです。それにしても、「この提案を信用してどれかを買ってみるしかないな」とはどういう意味でしょうか?

(答えは先輩社員からのコメントでわかります)

 

フィードバックをもらった

提案したは良いものの、まだごーかくんはどの笹かまぼこを買うか決められない様子。そこでリスペクトの先輩に、何が足りないのかを教えてもらうことにしました。

コメントをいただいたのは、15卒ソリューション営業課のSさん。

以下の3点のコメントをいただきました。

 

1.選択肢を絞り込もう

「笹かまぼこを20種類から5種類に絞ったけど、まだ多い。本来ならヒアリングで予算を聞いているはずなのでもっと絞り込めているはず。」

確かに、低価格帯で14種類→2種類、高価格帯で6種類→3種類に絞り込んだまでは良かったのですが、そこから先は結局ごーかくんに選んでもらうことになっています。そもそもごーかくんは笹かまぼこを選ぶのに困っていたはずなので、5つもの選択肢を与えることは問題の解決になっていません。「信用して買ってみるしかない」とい曖昧な答えはそういう意味だったんですね。

そういえばせっかく4項目で検証したのに、「香りの強さ」と「パッケージ」の検証結果は活用されていません。ごーかくんからは「パッケージは重要ではなかった」との指摘もあり、分析項目の検討が不十分だったことがわかります。

 

2.もっとヒアリング項目を増やして提案の幅を広げよう

「笹かまぼこに関わる事柄に限らず、広く生活全体について聞けば、提案の幅は広がる。」

笹かまぼこの提案をするのだから食生活について聞けば十分だと考えていたのですが、食べ物を選ぶ基準は味の好みだけではないため、分析の軸が偏ったものになっていました。

これは一つ目の「選択肢が絞り込めなかった」というコメントにもつながります。もし食生活以外のヒアリングができていれば、「香りの強さ」や「パッケージ」よりも適した分析の軸を考えることができたと思います。

 

3.提案を受けてどうなってほしいのか? を考えよう

「ごーかくんに笹かまぼこを提案して終わりではなく、渡したあとに良い関係を維持してもらうことが目標。」

振り返ってみると、今回の私たちの目標は「彼女さんを喜ばせることでごーかくんに喜んでもらうこと」でした。しかし、ごーかくんにとって一番嬉しいのは、彼女さんを一時的に喜ばせるだけでなく、二人の関係を長く良いものにすることです。そこに目標を設定していれば、笹かまぼこのラッピングや渡し方、活用方法なども提案に含められたことがわかります。

 

フィードバックをいただいて、ごーかくんの問題を解決するには、私たちの提案はまだまだ不十分だったことがわかりました。

 

先輩が提案書の例を見せてくれた

さて、フィードバックをいただいて帰ろうと思っていると…なんとSさんが提案書を作ってきてくれました。お忙しいところありがとうございます…!

Sさんの提案書では、SNSの利用状況や人間関係も条件に加えられていて、「添加物の有無」「インスタ映え」が判断軸に入っていました。「脂っこいものが好き」というヒアリング内容から「体に気を遣ったものをあげよう」という提案を導く、逆の発想ですね…!

Sさんの提案書から。ヒアリング項目がかなり広いですね。

また、Sさんの提案書では笹かまぼこを一種類だけに絞って(鐘崎のハロウィン限定笹かまぼこ)提案しています。そのうえで笹かまぼこを選ぶ理由に紙幅が割かれており、とてもわかりやすいものになっていました。

さらに、Sさんの提案では笹かまに合いそうなお酒・笹かまに関連するデートプラン・笹かまぼこの豆知識など、笹かまぼこを提案したあとの内容が多く(ページの半数以上!)盛り込まれていました。選ぶ側からすれば購入後のストーリーが具体的になることで、その笹かまぼこを買おうという意志が強まりますね。また、提案をただ聞くだけで「ここまで考えているのか」と信頼を高めてもらう効果もありそうです。ごーかくんもSさんの提案書を見て、「嬉しかった!」と大喜びでした。

Sさんの提案書の1スライド。わくわくしますね…!

 

マーケ&コンサルも面白いんじゃない?

いかがでしたでしょうか?

笹かまぼこの提案という事例を通して、マーケティングの仕事がどのようなものか、少し身近に感じてもらえたのではないかと思います。

今回の提案でも、ヒアリング項目や提案の仕方など、工夫できることがたくさんありました。私たちの提案の手順や先輩からのコメント内容もあくまで一例にすぎません。

※また今回はヒアリングから提案までで終わっていますが、提案が受け入れられれば、サービスの展開や企画の実施にも関わることになります。

こんな仕事も面白そうだと思った方は、ぜひリスペクトの会社説明会に足を運んでみてくださいね☆

株式会社リスペクト

 

【追記】提案された笹かまぼこを渡してみた

私たち内定者から5種類、Sさんから1種類、合計6種類の笹かまぼこを提案されたごーかくん。彼女さんにはカネコ橋沼商店の「松島笹」(高価格帯)を渡したそうです。

彼女さんからのコメントもいただきました。

「パッケージのブランド感が良い。仙台名物感を押し出したパッケージがお土産っぽくて好き。食べ応えがあり、香ばしい香りと塩っ気が強いのも良かった。」

なるほど、「塩加減」「食感」で分析したのは間違いなかったようです。「香り」は強い方がお好みだったようですね。ヒアリングで「外食で気にするポイント」などを聞いておけば、事前にわかっていたかもしれません。

彼女さんも喜んでくれたようで、私たちの胃もたれも報われました…!